北里大学東病院の閉院理由とは?跡地の現在とカルテ開示を徹底解説
相模原市南区麻溝台の地に長年根ざし、地域医療の要として数多くの患者を支えてきた北里大学東病院。2020年3月末をもってその歴史に幕を下ろしてから時間が経過した現在も、地元住民やかつての通院患者の間では「なぜ閉院したのか」「あの広大な敷地はどうなっているのか」といった疑問が絶えません。
ネット上には経営悪化説などの誤った憶測も散見されますが、実際の閉院は学校法人北里研究所が進めた綿密な医療機能集約戦略に基づくものでした。かつて「精神医療・リハビリの拠点」として全国に名を馳せた同院の歩みを紐解き、本院統合の真相から解体工事を経た跡地の再開発動向、さらには過去のカルテ開示手順まで、関係資料と現場取材をもとに詳細を浮き彫りにします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:閉院の決定的な理由は経営破綻ではなく、北里大学病院新病院(本院)の完成に伴う「高度医療機能と医療資源の一元化」による計画的統合。
- 要点2:相模原市南区麻溝台の跡地は解体工事を経て更地化が進み、大学の研究・教育基盤や周辺の都市整備構想を見据えた土地活用が模索されている。
- 要点3:東病院時代の過去のカルテ(診療記録)は本院が一括保管しており、規定の手続きを踏めば現在でも開示請求や各種証明書の発行が可能。
【閉院の深層】北里大学東病院が幕を下ろした決定的な理由と本院統合の全貌
北里大学東病院が閉院に至った背景には、学校法人北里研究所が長期的な視野で推進してきた病院再編計画が存在します。一部のSNSやネット掲示板では「赤字による突然の撤退」といった根拠のない風評が囁かれた時期もありましたが、これは実態とは全く異なります。
同院は1986年、本院のバックアップおよび精神神経科、神経内科、感覚器医療、リハビリテーションを中心とした専門医療を担う施設として開設されました。しかし、開設から約30年が経過する中で建物の老朽化が進み、高度化する最新医療機器の導入や耐震基準への対応が課題となっていたのです。
転機となったのは、近隣の相模原市南区北里に位置する北里大学病院(本院)において、地上14階・地下2階建ての免震構造を備えた「新本館」が2014年に開院したことです。この新病院建設に伴い、分散していた医療リソースを集約し、急性期から回復期、専門治療までをワンストップで提供する青写真が描かれました。
医療法における特定機能病院の認可要件や、国の進める地域医療構想(病床機能の分化と連携)への適合を視野に入れた際、直線距離でわずか数百メートルほどしか離れていない本院と東病院を併存させ続けることは、医師・看護師の配置効率の面からも非合理的でした。北里研究所は段階的な診療科の移転を進め、2020年3月末日をもって東病院の全診療を終了し、本院へ完全統合する決断を下したのです。

【徹底比較】本院統合前後の体制変化と医療機能スペック
東病院の統合によって、地域の医療提供体制はどのように再編されたのか。当時の規模感と現在の本院体制を客観データで比較検証します。
| 項目 | 旧・北里大学東病院(閉院前) | 現・北里大学病院(統合後) | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 病床規模 | 544床(一般+精神科病床) | 1,100床超(特定機能病院) | 県下最大級の高度医療拠点へ病床機能が集約 |
| 精神神経科の体制 | 独立した専門棟、手厚い療養環境 | 総合病院内の専門フロア・病棟 | 身体疾患と精神疾患の合併症治療力が飛躍的に向上 |
| 施設環境・設備 | 1986年竣工(老朽化が進行) | 高層免震構造、最新型手術室群 | 大規模災害時の事業継続性(BCP)が大幅に強化 |
| 診療記録の管理 | 東病院医事課による独自管理 | 本院の診療録管理部門に一括移管 | 過去データの散逸を防ぎ、適正な開示請求窓口を維持 |
【現地取材】相模原市南区麻溝台の跡地は現在どうなった?解体工事と再開発計画の行方
相模原市南区麻溝台2丁目に位置していた旧東病院の敷地は、敷地面積が約4万平方メートルを超える極めて広大な土地です。診療終了後、段階的に機材の搬出や建屋の防音パネル設置が進められ、本格的な解体工事が実施されました。
かつて多くの車や路線バスが行き交ったロータリーや重厚な病院本館は取り壊され、周辺の街並みは一変しています。地元住民への聞き取りでは、「毎日見上げていた大きな病院が消え、視界が開けたことに寂しさと驚きを感じる」「夜間の人通りが減り、街灯の明るさが変わった」といった実感が語られます。
気になる跡地の再開発計画ですが、学校法人北里研究所が保有する重要資産であることから、民間企業への単純売却ではなく、学校法人の教育・研究機能を拡充する構想が有力視されています。相模原市が推進する麻溝台・新磯野地区の都市基盤整備事業との整合性を保ちながら、医療・生命科学の研究施設、あるいは学生向けのグラウンドや研修拠点など、多角的な活用プランが関係各所で協議されてきました。
敷地規模が巨大であるため、近隣地域では「医療モールや生活利便施設が誘致されるのではないか」という期待の声も根強く残りますが、用途地域や文教地区としての位置づけを踏まえ、慎重なプランニングが進められています。

【実態検証】「精神神経科の名門」として愛された現場のリアルと当時の評判
北里大学東病院を語る上で欠かせないのが、国内の精神医学界を牽引し続けた精神神経科の圧倒的な存在感です。
開設当初から、精神疾患を身体疾患と同等に科学的・総合的に治療する「開かれた精神医療」を標榜。閉鎖的なイメージが強かった昭和の精神医療界において、自然光を取り入れた明るい病棟設計や、心理療法と薬物療法を融合させた先駆的なアプローチは、多くの医療関係者から高く評価されました。気分障害(うつ病・双極性障害)や思春期のメンタルヘルス、摂食障害の専門治療を求めて、神奈川県内のみならず全国から患者が来院した記録が残っています。
当時の通院患者の手記やコミュニティの声を調査すると、現場の温かな対応を称賛する声が目立ちます。
「東病院の精神科は敷居が低く、中庭の緑を眺めながら静かに診察を待つことができた。あの環境に救われた患者は数知れない」
「リハビリテーション科のスタッフが親身で、脳卒中後の母が歩行を取り戻すまで二人三脚で支えてくれた」
一方で、本院統合に伴う戸惑いの声も少なくありませんでした。広大で落ち着いた療養環境だった東病院から、超高層で人通りの激しい巨大な総合病院(本院)へと通院先が変わったことで、「待ち時間が長くなった」「受付の雰囲気に圧倒されて疲れてしまう」といった環境変化へのストレスを訴える患者が見られたのも紛れもない事実です。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|カルテ開示と過去の診療記録の請求手順
病院が閉院した際、元患者やその家族が最も直面しやすいトラブルが過去の診療記録(カルテ)の取り扱いです。インターネット上では「病院がなくなったらカルテは処分されてしまうのか」という不安の声が頻繁に見受けられます。
法律(医師法第24条第2項)上、カルテの保存義務期間は5年間と定められています。しかし北里大学病院のような高度教育・研究機関では、医学的知見の蓄積や患者の継続診療を目的として、5年を超える長期保管体制を独自に敷いているケースが一般的です。東病院で作成された診療記録も、すべて北里大学病院(本院)の診療録管理部門に統合・保管されています。
年金の障害等級申請、保険金の請求、あるいはセカンドオピニオンを受けるために過去の記録が必要になった場合、以下の手順で正式に開示請求を行うことが可能です。
- 問い合わせ窓口の特定:北里大学病院(相模原市南区北里1-15-1)の「医事課」または「患者支援センター・カルテ開示窓口」へ事前に電話連絡を入れる。東病院で受診していた旨を明確に伝えることが重要です。
- 必要書類の準備:患者本人の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)。代理人や遺族が請求する場合は、委任状や戸籍謄本など「法的権利を証明する公的書類」が必須となります。
- 開示申請書の提出:所定の申請書に記入し、郵送または指定された窓口で提出。開示目的の記載が求められます。
- 審査と開示作業:申請から実際の開示までには数日〜数週間の審査期間を要します。開示費用(複写費用や手数料)は規定料金が発生します。
「閉院しているからカルテは手に入らない」と諦めてしまうのは大きな誤解です。法的に認められた手続きを行えば、過去の診療データの確認は確実に行えます。

【専門家視点】地域医療再編から読み解く大学病院の生き残り戦略
北里大学東病院の閉院と本院統合は、単なる一医療法人の局所的な出来事ではなく、日本の医療制度全体が直面している構造改革の縮図と言えます。
現在、厚生労働省が進める「地域医療構想」では、医療機関の役割分担が厳格化されています。大学病院に求められるのは、地域のクリニックで対応困難な重症患者を受け入れる「高度急性期医療」と「最先端の臨床研究」です。同一法人内に複数の中規模病院を抱え、限られた医師や看護師を分散配置させる旧来のスタイルは、医療スタッフの過重労働や経営効率の悪化を招きかねません。
医療経済学的な見地から分析すれば、東病院を本院へ集約した戦略は、医師の働き方改革(2024年4月施行)や人件費・資材高騰を先回りした「極めて合理的な防衛策」であったと結論づけられます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
統合された北里大学病院(本院)の利用にあたっては、その特性を理解した上で使い分けるリテラシーが求められます。
【北里大学病院の受診が向いている人】
複数の身体疾患を併発している難治性のメンタル疾患患者や、最新鋭の画像診断装置(高磁場MRIやPET-CT等)を用いた精密検査を必要とする患者。多職種チームによる高度で先進的な包括ケアを希望する人には最適な選択肢です。
【地域のクリニックを優先すべき人】
軽度の不眠や日常的なストレスケアなど、定期的な薬の処方と静かな環境での対話を最優先したい患者。特定機能病院である北里大学病院は、初診時の紹介状がない場合に高額な選定療養費が発生する上、待ち時間も長くなる傾向があります。まずは地域のかかりつけ医を受診し、必要に応じて紹介を受けるステップを踏むのが賢明です。
【北里 大学 東 病院】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:北里大学東病院の跡地は何になる予定ですか?商業施設ができる可能性はありますか?
A1:敷地は学校法人北里研究所が保有しており、基本的には大学の教育・研究施設や関連拠点としての活用が中心に検討されています。現時点で大規模なショッピングモール等の純民間商業施設になるという公式発表はありません。周辺地域のまちづくり計画と連動した情報公開が待たれます。
Q2:東病院にかかっていた当時のカルテや診断書は、現在でも北里大学病院で発行してもらえますか?
A2:はい、可能です。旧東病院のすべての診療記録は北里大学病院(本院)が一括管理しています。受診歴の確認や保険会社提出用の診断書作成、カルテ開示請求については、本院の医事窓口または患者支援窓口にて所定の手続きを行うことで対応してもらえます。
Q3:東病院の精神神経科にいらっしゃった有名な先生方は、現在どこで診療していますか?
A3:多くの医師は本院の精神神経科へ異動し診療を継続していますが、統合のタイミングで関連病院へ転勤された方や、相模原市・町田市周辺などの近隣で個人クリニックを開業された医師も多数います。特定の医師の診察を希望する場合は、北里大学病院の担当医表を確認するか、医師個人の現在の所属先を検索することをおすすめします。
まとめ:地域医療の変遷を知り賢く医療機関を選択する
北里大学東病院の閉院は、30年以上にわたり培われた伝統的な医療への郷愁を誘う一方で、少子高齢化と医療の高度化が進む現代において必然的な選択でした。相模原市南区麻溝台の広大な跡地は、次世代の医療人材育成や科学研究を支える新たなステージへと歩みを進めています。
かつての利用者が過去の記録を必要とする場合は、躊躇せず本院の窓口を頼ってください。医療機関の再編が進む今の時代だからこそ、病院の機能と役割を正しく理解し、自らの健康状態に合わせた適切な医療アクセスを選択する視点が何よりも大切です。 (出典: 北里 大学 東 病院(Yahoo!ニュース))