ポケモン「このゆびとまれ」はなぜ最強か?効果と対策・育成論を徹底解剖
ゲームボーイアドバンス時代から最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(ポケモンSV)』に至るまで、公式世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス(WCS)」の歴史を常に塗り替えてきた伝説的な技が存在します。それが、相手の攻撃を一挙に引き受けるサポート技「このゆびとまれ」です。
ダブルバトルにおいて、わずか1ターンの行動が勝敗を決定づける競技シーンにおいて、なぜこのシンプルな変化技がトッププレイヤーたちから「最強の盾」として重宝され続けるのでしょうか。本稿では、仕様の根幹にある優先度システムから「いかりのこな」との致命的な性能差、2026年現在のSV対戦環境における主要な使い手や具体的な対策法まで、現場の競技データをもとに徹底解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:優先度+2から放たれる強制ターゲット変更により、隣の味方エースの行動を100%保証するダブルバトル屈指の基盤技。
- 要点2:類似技「いかりのこな」と異なり草タイプや「ぼうじんゴーグル」で無効化されず、ピッピやイエッサン♀の特性と組み合わさることで盤面を完全に制圧する。
- 要点3:全体攻撃技の貫通や「ねこだまし」による怯み、ちょうはつへの対応順など、仕様を熟知した立ち回りこそが勝率向上の決定打となる。
【基本仕様と優先度】「このゆびとまれ」がダブルバトルで絶対的権力を持つメカニズム
対戦現場において、ポケモン ダブルバトル サポート技の最高峰に位置づけられる「このゆびとまれ」の最大の特徴は、その圧倒的な行動順位と強制力にあります。技の効果と優先度は「+2」に設定されており、一般的な攻撃技(優先度0)はもちろん、特性「いたずらごころ」によって繰り出される変化技(優先度+1)よりも早く発動します。
技を使用したターン、相手ポケモンが選択した単体対象の攻撃や変化技は、すべてこの技を使ったポケモンへと強制的に向け直されます。ダブルバトルにおける勝敗の分水嶺は「いかに味方のアタッカーを安全に着地させ、行動回数を稼ぐか」という一点に集約されます。相手が放つ渾身の「こうかばつぐん」の一撃や一撃必殺の単体技を身代わりとなって吸い寄せることで、隣の相棒がノーリスクで「つるぎのまい」を積む、あるいは確実に「トリックルーム」を展開するといった展開を完全に成立させます。
盤面に存在するだけで相手の攻撃選択肢を狭め、プレッシャーをかける心理的支配力こそが、ランクマッチの上位帯から公式トーナメントに至るまで、この技が20年以上にわたって重宝される最大の理由です。

【徹底比較】「このゆびとまれ」と「いかりのこな」の決定的な違い
ダブルバトルにおいて攻撃を引き寄せる技として双璧をなすのが「いかりのこな」です。一見すると同じ効果に見える両者ですが、上位プレイヤーの間ではその評価に明確な一線が引かれています。その根拠となるのが「仕様上の無効化条件」です。
| 項目 | このゆびとまれ | いかりのこな | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 技のタイプと優先度 | ノーマル / 優先度+2 | むし / 優先度+2 | 発動スピードの判定自体は完全な互角 |
| 草タイプへの吸い寄せ | 完全に有効(無効化不可) | 無効(引き寄せ失敗) | マスカーニャやモロバレル等に貫通されるか否かの決定打 |
| ぼうじんゴーグル・特性「ぼうじん」 | 完全に有効(吸い寄せる) | 無効(無視して味方を攻撃) | 「粉技」判定の有無が環境での信頼性を左右する |
| 主な習得ポケモン | イエッサン♀、ピッピ、オーガポン、パチリス | モロバレル、ウルガモス、アブリボン | タイプや特性のシナジーに応じた住み分けが成立 |
「いかりのこな」は第6世代以降、システム上「粉技」として分類されました。そのため、草タイプを持つポケモンやアイテム「ぼうじんゴーグル」を持つ相手、特性「ぼうじん」を備えたポケモンには効果を発揮せず、狙われた味方に攻撃がそのまま通ってしまいます。これに対し、このゆびとまれは粉技ではない通常の変化技であるため、相手の持ち物やタイプに関係なくすべての単体攻撃を吸い寄せます。この「確実性の差」こそが、大舞台でトッププロが「このゆびとまれ」を指名する決定的な論拠です。
【2026年最新環境】ポケモンSVで覚える主要ポケモンと凶悪な構築実例
『ポケモンSV』の対戦環境において、「このゆびとまれ 覚えるポケモン」は厳選された数種に限られていますが、そのいずれもが独自のシナジーを持ち、環境を定義するほどの支配力を誇っています。ポケモン ダブルバトル 構築を組む上で外せない3大巨頭を検証します。
1. イエッサン♀:サイコフィールド展開による先制封殺
隠れ特性「サイコメーカー」により、登場した瞬間にサイコフィールドを展開。これによって相手の「ねこだまし」や「いたずらごころ」変化技といった先制技を完全に無力化します。先制攻撃で怯むリスクを自力で排除した上で放たれるイエッサン♀の「このゆびとまれ」は、グレンアルマやブリムオンなどのトリックルーム始動を100%近く通す驚異的なコンボとして猛威を振るい続けています。
2. ピッピ:しんかのきせきと「フレンドガード」の要塞化
進化前のピッピが選ばれる理由は、特性「フレンドガード」にあります。場にいるだけで味方が受けるダメージを無条件で25%軽減させるこの特性と「しんかのきせき」による自身の高耐久が融合。さらにピッピの「このゆびとまれ」によって攻撃を吸い寄せられるため、相手は「ピッピを殴っても硬く、隣を狙っても25%軽減される」という地獄の二択を強いられます。伝説レギュレーションにおいても、コライドンやミライドン、黒馬バドレックスの耐久を底上げする最強の相棒として選出率上位を維持しています。
3. オーガポン:高速アタッカーとサポートの凶悪な二面性
碧の仮面DLCで参戦したオーガポンは、攻撃種族値120・素早さ種族値110という屈指のアタッカー性能を持ちながら、自力でこの技を習得します。相手側からすれば「超高火力の攻撃が飛んでくるのか、それともオーガポンの『このゆびとまれ』で隣のアタッカーを保護してくるのか」を選出画面・盤面の両方で読まなければならず、行動選択に強烈な負荷をかける点において他のサポート役とは一線を画す存在です。

【伝説の舞台裏】パチリスが世界大会WCSを制覇した「あの1手」の真実
この技の歴史を語る上で欠かせないのが、2014年WCSマスターカテゴリ決勝戦で韓国のパク・セジュン選手が見せた奇跡の戦術です。誰もが予想しなかった白と水色の小動物、パチリスが放った「このゆびとまれ」が世界中のファンと実況席を熱狂の渦に巻き込みました。
当時、メガガルーラやガブリアス、ボーマンダといった圧倒的な種族値を持つドラゴン・怪獣ポケモンたちが支配していた環境において、パチリスは特性「ちくでん」と徹底的に施された耐久調整(ぼうぎょ・とくぼうへの極振り)を武器に参戦。決勝戦の緊迫した盤面で相手のメガボーマンダから放たれた強力無比な「りゅうせいぐん」を「このゆびとまれ」で一身に引き受け、HPゲージをミリ単位で残して耐えきると、「オボンのみ」を頬張って味方のガブリアスを完璧に生存させました。
大会後のインタビューや国内外のコミュニティで語られた通り、これは決して単なる「マスコットポケモンによる奇策」ではなく、環境に存在するすべての攻撃技のダメージ計算をミリ単位で突き詰めた末に導き出された、極めて論理的で冷徹なメタゲームの結晶でした。この劇的な勝利によって、「このゆびとまれ」は弱者が強者を制するための究極の戦術兵器として、ポケモンの歴史に永遠にその名を刻むこととなりました。
【実態検証】「全体技貫通」と「ちょうはつ」|知っておくべき弱点と突破口
無敵の誘導性能を誇るように見えるこの技にも、明確なゲームシステム上の弱点とアンチシナジーが存在します。対戦でカモにされないため、また相手の指役を崩すために把握すべき代表的なこのゆびとまれ対策は以下の3点です。
1. 全体攻撃技の完全貫通
最大の弱点は、複数体を対象とする技を引き寄せられない点にあります。「いわなだれ」「ハイパーボイス」「じしん」、そしてサーフゴーの「ゴールドラッシュ」や黒馬バドレックスの「アストラルビット」といった技は、このゆびとまれを完全に貫通して隣のエースポケモンにダメージを与えます。相手の盤面に指役が見えた場合、強力な範囲技を連打することが最も手堅い対抗手段となります。
2. 優先度+3「ねこだまし」による出鼻挫き
この技の優先度は+2であるため、より上位の優先度+3から繰り出される「ねこだまし」を被弾すると、怯み状態にされて技の発動そのものを止められてしまいます。ゴーストタイプへのテラスタルや、持ち物「おんみつマント」を持たせることで怯みをケアする動きが一般化しているのも、この弱点を克服するための現場の知恵です。
3. 「ちょうはつ」による機能停止と速度関係
変化技である以上、「ちょうはつ」状態にされると技を選択することすらできなくなります。ここで重要なのが優先度の相互関係です。「いたずらごころ」持ちのエルフーンやヤミラミが撃つ「ちょうはつ」は優先度+1であるため、初ターンは優先度+2の「このゆびとまれ」が先に出て吸い寄せられます。しかし、2ターン目以降は挑発によって技が縛られ、サポート役は完全に置物と化します。初手でアドバンテージを奪い切れるかどうかが勝負の分かれ目となります。

【プロの結論】採用すべき構築と見送るべき構築の明確な境界線
「このゆびとまれ」は極めて強力な技ですが、どんな構築に入れても勝率が上がる万能薬ではありません。ゲーム理論と構築力学の観点から導き出される、採用すべきプレイヤーと見送るべき条件は以下の通りです。
【採用が推奨される構築】:
- 明確なエースを通す積み構築:「りゅうのまい」や「めいそう」など、1ターン確実に隙を作れれば試合を決定づけられる絶対的エースが存在する場合。
- トリックルーム展開を主軸とする低速構築:始動役が倒されると即敗北に直結するため、初手での行動保証が死活問題となるパーティ。
- 戦術の役割分担が明確なプレイヤー:「1体を犠牲にしてでも、もう1体で盤面を制圧する」というテンポ・アドバンテージの計算ができる人。
【慎重になるべき・採用を見送るべき構築】:
- 高速アタッカー4枚で制圧する前のめりなスタンパ:指役を置くことで攻撃の手数が半減し、相手の全体攻撃技に巻き込まれて盤面崩壊を起こすリスクが高い場合。
- 相手のプレイングに依存したくない人:ダブルバトル上位帯では「指を読んで全体技を重ねる」「指役を無視して範囲攻撃で崩す」といった高度な読み合い(択)が発生するため、受動的な立ち回りだけでは勝ちきれません。
【ポケモン この ゆびとま れ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:シングルバトルで「このゆびとまれ」を使うとどうなりますか?
A1:シングルバトルでは相手の攻撃対象を変更する相手が存在しないため、技を選択しても「しかし うまくきまらなかった!」と表示され、完全に無意味な行動となって失敗します。
Q2:相手の「いたずらごころ」による「ちょうはつ」で止めることは可能ですか?
A2:技を撃ち合うその瞬間に関しては、特性「いたずらごころ」による変化技が「優先度+1」であるのに対し、「このゆびとまれ」は「優先度+2」です。そのため指役が先に行動して相手の挑発を自身に吸い寄せ、そのターンの味方の行動は確実に保証されます。ただし、挑発を受けた指役は次のターンからこの技を選択できなくなります。
Q3:ウーラオスの特性「ふかしのぎもん」は「このゆびとまれ」を貫通しますか?
A3:貫通しません。「ふかしのぎもん」は「まもる」や「みきり」などの防御技を無視して攻撃を通す特性であり、ターゲットの強制変更を無効化する効果はありません。ウーラオスの単体攻撃(「すいりゅうれんだ」や「あんこくきょうだ」など)は問題なく「このゆびとまれ」を使った側へと引き寄せられます。
まとめ:1ターンの行動保証が勝敗を分ける究極のタクティクス
ポケモンバトルの長い歴史において、システムの根幹を揺るがす数々の技が登場しては修正を受けてきました。その中にあって「このゆびとまれ」が初代の流れを汲みながら現在もトップメタに君臨し続ける理由は、この技が単なる数値の暴力ではなく、ダブルバトルというフォーマットの本質である「盤面のコントロール」を最も純粋に体現しているからです。
全体攻撃による貫通リスクや先制技との緻密な優先度管理を理解し、正しくパーティに組み込むことができれば、これほど頼もしい武器は他にありません。画面の向こう側の相手が放つ一撃を己の身ひとつで受け止め、相棒の勝利へと道を開く――その指先に込められた戦術の重みを、ぜひ次のランクマッチで体感してください。 (出典: ポケモン この ゆびとま れ(Yahoo!ニュース))